ピーター・ザ・キッドが森の角にウィンドゲートを置くのは、あの位置が複数の理由で都合が良いからだ。
森の中なので森の外、レーンの中からは攻撃がし辛い。コア設置系スキルにおいて、壊されない事には一定の価値がある。
そして森の中でありながら、コアの効果エリアが森の外にはみ出るように置くことが出来る。
それはわざわざ森の中に入ることなくコアを踏めるという事であり──コアの安全と利便性を両立した場所こそが森の一角ということだ。
ピーターの回避挙動は決して軽くはない。空を舞うものの避けるという挙動が緩慢になりがちであるというのは得てしてそういうものだ。
だからこそ歩き避けの技量が求められるともいうし、緩慢な回避挙動の重い硬直を回避距離で補うという点でも──勿論スピードの二重バフであることから歩き避けのサポートという観点でも、ウィンドゲードの存在は大きい。
でもコアはそもそもユクイコロを除いて、設置者の撤退ですべて消滅する。
どんなに安全な位置にコアを置いても、コア以上に設置者の方が死に易きようでは──
「というわけで」
虚空に説明面かますんじゃない。全レーン敵味方手前貫通済み。
手前拠点を折る為にその奥の兵士迄ゼーレで枯らそうとしたところをエピーヌとロビンに捕まりあえなく補導、じゃない、キルされてレーンは中央手前付近まで押し戻されてしまった。それでも敵手前拠点をあの名高いアリス使いのロビンから強奪出来た功績は大きい──ゲージ差はキル1人分此方が不利だ。
相方に夢風を撒く。対面のサポーターはエピーヌ──当然のように格上のエピーヌだ。
真面目にレーン内でやり取りする分にはどう足掻いたって此方に勝ち目がないが、かといって粉をエアウォークで掻き消すのは危険が過ぎる。その隙を何時何処でロビンが待っているか、分からないからだ。
しかし、レーンは下げたくない──
「此処に置けば差し合いを拒否できたりしねえかな」
中央レーンに開いた森の入り口。ピーターは、その入り口ど真ん中にゲートを置いた。
復帰したてでそれくらいのMPはある。1回目のゼーレは使用済みで、赤本の補助も発動済みだ。
此処を狙う粉はキャスト狙いと兵士狙いを両立し辛い。
(此処からドローを描いたり銃を使って、維持するだけ維持しよう……後は両端や相方に任せるしかねえかな)
中央に巨人が居るのも見えた。暫くはじりじり耐える時間になりそうだ──
「針穴さえ──」
「ひゃあッ!?」
森の中からいそいそと巨人狙いの弾を撃っていた最中だった。
響いた声色に慌ててゲート裏へ飛び込む。石造りの"森"の中に倒れるように飛び込むのは痛くないかと言われたら嘘になるが──
ぱりん、とけたたましい音を立ててクリスタルが爆ぜる。
「えぇ……」
ちょっとそれは考えていなかった。未だ敵の巨人が残っている。
どうにか巨人処理をしたいと思い、同じ場所にウィンドゲートを置きなおした。
「これで、よ」
ぱしんっ、と音を立てて真新しいゲードにもう一矢打ち刺さる。
「……こわ」
エピーヌのバフの乗ったロビンの一撃だ。ゲートではなく自身が受けていたら死んでいたには違いない。
3分の1程コアの体力を奪っていったジャストショットの跡を見ながら──
(一度傷を癒そう、もうすぐゼーレも戻って来るし何よりあれを一発生身で受けたら死んじまう)
深くふかくため息を吐くのであった。まさか、二度もゲートに命を救われることになるとは……
* * *
戻ってきてゼーレ展開して巨人処理しようとする頃にはこのゲートミリまで削られてました。
状況的に恐らくもう一回ジャストショット喰らってるよこのゲートちゃん……
ロビン達のゲート破壊意識が強すぎる、怖い。
別のロビンランカー相手に同じことしたらめちゃくちゃドロー撃たれてしまった
そっちもそっちで痛かったし辛かったです……
一方で兵士処理の粉に巻き込まれないようにしながら、SSで咎められるのを避けつつ
兵士処理が出来なくもないので格上エピーヌ相手にじりじり耐える挙動としては割とありでした(ぺふ)
オマケ:該当シーンだけぺたぺたしておきます。未だ動画のアップロードしていないので……
(試合自体は
「これがランカーの力だ」と彼らは言った [https://wonder-club.jp/posts/167026] の1戦目です。
珍宝銀銀丸さま、もくさま、その節は改めて本当に有難う御座いました!)