ピーター・ザ・キッドというキャスト。
終始ドローをもって兵士処理をするサポーターであり、そのドロー線の細さも相俟って復帰時──手前拠点に迫る兵士を的確に処理するというのはやはり難易度が高い。それでも勿論やってのけなくてはいけない時はあるけれど──手拭い環境の現状、インプルスゼーレを使って処理するのは確実かつ安定した手段だ。
(うわ…… フィーの扉がど真ん中に置かれてる)
どう見たって其処に飛び込むことが危険な状態でも、安全な場所に飛び渡りながらゼーレの波で兵士処理が出来る。
手拭いのお陰で"詰めの為に残す"必要性がなくなったので気軽に使えるのは有難い。
もう一回跳び渡ってフィーとシレネッタ、その裏の兵士を枯らしに行く。
2人揃って此方を見た隙を逃すことなく仕留めるウィキッドが頼もしい。
此処で確りフィーも返り討ちに出来るとなると──
(ちょっとゼーレ勿体なかったかな?)
手前拠点から出てきた4体兵士を倒し、後はウィキッドが正しくフィーを見てくれさえいれば拠点は折れるだろう。
顔を上げた時、ツクヨミの声が聞こえてきた。
「申し訳なし…… 刹那の手前、護れぬやもしれん」
ミニマップを見遣ると瀕死であることが伺える。
対面はローザだったか──確か
「兵士数に応じて回復するスキル持ち」
三度、少年は風を纏った。
最速で回復スキルを撃たれていれば少年の目論見は間に合わなかっただろう。
だが、MPがなかったのかそれとも──少年の存在に気付いたローザの判断はSSと殺意ドロー。
少年は目論見道理ゼーレの波だけを掠らせてローザの味方の兵士を減らす。
「ふむ、一度帰城するとしよう。感謝するぞ」
「ん、もうちっとだけ残るぜ。中央は──獲れるだろうからさ」
ツクヨミがひとりでも大丈夫なように余裕を持たせて帰ろうとしていたのもあり、一列程中腹に味方兵士が残っている。
中央はウィキッドがフィーを森迄追い立ててくれている。あれならシレネッタの復帰は間に合わないだろう。
ゼーレはあと僅か。相手に殺意を振らせる為ふよふよと拠点回りを漂う。
MPはないし、自身の夢風も切れている。此方から手出しはしない──
森に入ったウィキッドが、その勢いのまま端レーンのミクサを襲いながら"森に注意"のチャットを打つ。
防衛を諦めてフィーが逃げ出したか──その証左に中央手前拠点奪取の報が流れた。
「っと、そろそろレーンに戻らなきゃな。中央行くな!」
「もう大丈夫じゃ。右にゆくぞ」
「ん、サンキュー!」
刹那の手前を護れただけでなく、敵刹那の手前拠点もミリ残りだ。
中々うまいこといったんじゃないだろうか。少年は上機嫌だった。
──元々少年がこの世界に入ったばかりの頃、アタッカーはキャストキルの横槍をするキャストでサポーターは兵処理とバフの横槍をするキャストなのではないかと思っていた頃があった。実際の処横の兵処理をするような余裕があるような構造にはなっていないし、そんな余裕があったら縦押しでえらいことになってしまう筈なので出来るような設計は難しいとは思うのだが。
それでも、時々こうやって兵処理によるカバーが出来る事があると少しうれしくなる。
実際には後程出てくる中央巨人とか、中央対面の波だか扉だかの厄介な中央性能の関係で、
この刹那手前を護るムーヴが後々大きく活きてくることになるのだけれど、それはまた別の話。
* * *
話には絡まないんだけどこの後突然端にいってしまうフィーの対応をしてくれたり、
中央に行く宣言→WS使用宣言と合わせやすいWSの使い方をしてくれたアリスも本当にありがとうね。
Special Thanks だま氏さま/ツクヨミ
TEETさま/ウィキッド・ドロシィ
邪悪フロストさま/リトル・アリス