ソウルを重ねるのは、比較的新参の悪童には重労働だ。
最近はSRアシストと、クラフトのWRアシストが多く──SRアシスト実装時に出来る限り見掛けたものを引いて重ねておくことと、クラフト元のアシストを把握してちゃんと強化していくことを忘れなければ其処まで付いていけないこともないのだが……
ソウルはWRが多い。
スタートダッシュで上げられなかった分を上げるのも一苦労だし、過去のソウルがなんやかんやで採用され始めたりすると1からマテリアルで強化しなくてはならないなんてこともざらにある。
そういうわけで、流行り廃りくらいは時々見るようにはしているんだけれど──
通りがかったローザがオススメソウルの三枚目を見て、首を傾げた
「あらあら、吉四六さん?ストレート攻撃力と、スキル消費MPに恩恵があるソウルさんよね?」
バージョン4のソウルだ。ローザ達がやってきたころとほぼ同時にこの図書館を訪れた悪童には、縁が余りなくて未だ+7くらいまでしか重なっていない。ここ暫く、武器ではない癖にストレート火力とMP回りに恩寵のあるアシストも増えて──というか星見筆がまさしくその最たるものといった風で──武器を2枚挿さねばならないこのソウルの立場は日に日に厳しくなりつつある。
それでもストレート火力とスキル消費MPに恩寵のあるソウルは他になく、一部のピーターはこれで戦い続けている。
「──アタッカーさんのソウルではないのかしら?」
「ストレート火力を上げる、ってなるとそんな気がしてくるよな。でも、実はさ──」
これは、少年なりに調べた過去のお話。
かつて、ピーター・ザ・キッドというキャストはそもそも「ストレートショット」で主に兵士処理をしていたらしい。
ドローは夢銃が解禁されるまでの最序盤とWS中、多種多様な牽制に用いられ、寧ろ「エアウォーク」なども用いて対面に兵処理を"させない"動きも必要になっていたらしい。
(エピーヌの微睡みの粉や、かぐやメイディの月影の矢に無敵で当たりに行くプレイング……)
ちゃんと消した後ダウンを取るのも忘れてはいけない。
へんなタイミングで咎められたりSSハメを貰うだけで厳しくなる兵処理能力。
SSの硬直は決して軽くないから、夢銃ありきのビルドだろうか。
「正直カイが実装された頃に始めたから案外その世界を知らないんだよな」
赤本、カイ、シャフリヤール、新兵銃。
最近は本当にDSを過剰に盛れる低レベルアシストに満ちてきた。
いまのピーターは、確かに"ドローで兵士処理をするサポーター"と言っていいんだと思う。
自分が大好きだった、今も密やかに追い続けているピーター使いが吉四六を使い続けている事だけは知っている。
「あの人のソウル、星見筆を受けて変わったりするのかな……」
同じピーターでありながらも、すべてが違う立ち回りの向こうに生きているランカーの彼に、そっと思いを馳せた。