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【wlw文芸部】3分ぐらいで読めるワンダーランド日常譚 第2話「隠れ家にようこそ Part2」

by
Bussigny
Bussigny
/* -------------------------まえがき-------------------------

この投稿シリーズには、以下の要素が含まれる、
または将来的に含まれる可能性があります。
・二次創作日常譚
・独自設定
・時代背景の整合性?なにそれおいしいの?
・季節感が一切考慮されない作中時間
・キャラクター崩壊
・基本的にはコメディ路線にしたい
 →書いてる人が面白いと思ったこと(面白いとは言っていない)は大体なんでもやる


これらのことを許容できそうにない方はブラウザバック推奨です。

今回は第1話の続きです。
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 -------------------------この下から本編------------------------- */


「……なるほどね」
「おう、そういうこった」

ヴァイスがミクサを隠れ家に招き入れたその次の日、深夜。
テーブルを挟んでヴァイスとスカーレットが向かい合う。

「それで?あの子はなんで今もここに寝泊まりしてるのよ。しかも私のベッドで」
「お前が帰ってくるなんて思ってなかったからだろ。ババアのとこ寄ってくんじゃなかったのか?」

スカーレットは、故郷の村に用があるから帰りに寄っていく、と言って隠れ家を発っていたのだ。
予定通りなら、ここに戻ってくるのは早くても次の日の夕方くらいのはずだった。

「それが、村でインフルエンザが流行ってきてるみたいで。急ぎじゃないならやめとけっておばあ様から」
「あ?なんでババアが言ってんの知ってんだ?宿に鳩でも飛んで来たのかよ?」
「Facebookのメッセンジャーで来たわ」
「仮にも老体の殺し屋がなにSNSやってんだよ…」
「ヴァイスだってインスタやってる癖に」
「うっ、そ…そりゃぁ……」

ワンダーランドもどうやら近代化の時候だ。様式を重んじるマメールは未だ手紙を送ってくる一方で、躊躇いなくLINEを飛ばしてくるアナスン、なんて一面もある。

「……で、結局どうするのよ、あの子。いつまでここに——」
「ウチで飼おうぜ」

「——は?」
あまりに突拍子もない返しに、スカーレットは一瞬固まった。
「飼う、って……猫じゃないんだから」
「必要な世話はアタシがやる、お前の手は煩わせねぇよ」
「だから猫か」

この屋根裏を隠れ家として使い始めたとき、よくネズミが出ていた。ヴァイスはそれをダシに猫を飼おうとしたのだが、スカーレットが罠を置いていたこともあってネズミは減り、実現には至らなかった、という過去もあったりする。

「…なぁ、アイツってマッチ売りやってんのは知ってるよな?」
「ええ、もちろん——どうしてそれを?」
「稼ぎいくらか知ってるか?ひと月毎日やったってアタシらの"依頼"一回分の足元にも及ばねぇんだよ」

ヴァイスの口調に熱が入る。

「あんなゴミみてぇなぼったくりマッチなんざそう出るもんじゃねぇし、ピンハネだってある……言っとくが仕入れてるのはミクサじゃねえぞ、アイツは押し付けられてるだけだ——」

何言ってんだ。今のアタシちょっとおかしいんじゃねえのか?
本人でもそう思うほどの熱の入り具合でスカーレットにミクサの窮状を語る。

「——救ってやりてえんだろうな、アタシは、アイツを。昔ババアがそうしたくれたようによ」

スカーレットもヴァイスも、自分の生みの親が誰かは知らない。グランマに拾われていなかったら、そのまま死んでいただろう。ヴァイスはそんな自分の境遇を、今のミクサに重ねていた。


不意に。

「おい、どこ行く気だよ?」

先程から右手のスマートフォンをチラ見しながらヴァイスの話を聞いていたスカーレットが、立ち上がって壁に掛けてあるコートを手に取った。

「久しぶりに朝まで飲んでくるわね。寝るところもないし。ダメ元で妲己誘ったらむしろもう深雪乃と飲んでたわ」
「マジかよ…で、ミクサはアタシが見てろってワケだな?」
「珍しく話が早いわね。……朝になったら買い出しに行くから、ちゃんと起きてなさいよ。あと、できればあの物置になってる部屋片付けておいて欲しいわ」

「……ミクサの部屋にすんだな?」
「……ミクサの部屋にするから」

スカーレットは一瞬微笑んで、隠し扉から路地裏に飛び降りた。階下から着地用の干し草の乾いた音が聞こえる。

二人が最後に交わした言葉は、寸分違わず同時だった。



/* -------------------------あとがき-------------------------
こんにちは。Bussigny(びゅしにぃ)です。

今回も投稿に目を留めてくださりありがとうございます。
また前回も閲覧やコメントありがとうございます。まだコメ返せてなくて申し訳ないわ…
なんとか週1投稿に間に合った…のかな?

前回は初回なのであんなのでしたがあんまり長々と後書くのもよろしくないと思っていて、
特にお伝えしたいことがなければ省略orテンプレにしちゃってもいいのかなぁって気がしてます。
お伝えしたいことがなくなることもそう無い気はしますがw

ミクサがスカヴァの隠れ家に転がり込む回はひとまずここまでです。

「〇〇と××の掛け合いが見たい!」とか
「こんなシチュが見たい!」みたいなのがもしあったら、
コメントなりTwitterなりにてどうぞ(必ず書くとは言っていない)。


最後まで読んでいただきありがとうございます。 それでは次回までごきげんよう。

------------------------- End of Article ------------------------- */
更新日時:2019/07/17 08:10
(作成日時:2019/06/02 20:19)
コメント( 1 )
あおな
あおな
2019年6月8日 13時19分

面白かったです
作品楽しみにしています

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