■出会い
ふらっと立ち寄ったゲーセンで、一つの筐体が目に留まる。
上部に大きな本が開いた装飾。飛び出すように戦う白いドレスの女性騎士。
側面やパネル部分には、白黒のひし形チェック模様。
さらに水玉ドットのトーンも重なって、ゴシックな雰囲気を高める。
デモムービーと冊子を見ると、おとぎ話モチーフであり、ペンで線を引いて戦うゲームらしい事がわかった。
ペンで直接、線を描く。
つまり、プレイヤーが書き手となって新しい物語を描き出す。
筐体デザインのみならず、操作方法までもが世界観の演出になっている。
こんなゲームは初めてだった。
普段は新しいものに飛びつく事の少ない自分だが、
"Wonderland Wars"と題されたそのゲームに、興味を惹かれた。
プレイを開始すると、画面内でも作り上げられた統一感が、これでもかとぶつけられる。
タイプライターで名前を入力し、図書館へ入り(ログイン)、本をめくり(画面遷移)…と全てのUIデザインと演出に意味が込められている。
「このゲームで表現したい事」が押し寄せてくるのだ。
■Wonderland Symphony
ジャッツ ジャッツ ジャー↑ジャー↑ジャー↑
ジャッツ ジャッツ ジャー↓ジャー↓ジャー↓
(キャラ選択~マッチング中にかかるあの曲)
うわああああああ!この曲かぁぁぁっこえええぇぇぇぇ!!!!!!
これまでは「デザインすげーなー」と、余裕を見せていましたが、キャラクター選択画面のBGMで心を鷲掴みにされました。
まだ試合も始まってないのに、ハマっていました。
聴き惚れていると対戦者紹介画面に切り替わりBGMも変わる。
風雲急を告げるかのようなイントロ。なんてこったこれも素晴らしい曲だ。
そしてゲーム本編が始まり、ステージBGMが流れ出す。
\ワンダーラーーーーン/という印象的なコーラスからスタート。ありそうでなかった演出だ。
ドラムとベースが際立つ、どっしりとしたミドルテンポでAメロが展開される。
Bメロに入ると、バスドラムの連打(3連符?)と、上下するストリングスのメロディで不穏感を煽り始める。
そしてサビ。もう、言葉にならない程の衝撃!
クラシックの荘厳さとロックの激しさが融合した、全身に響いてくる音だった。
なんという事でしょう。デザイン面だけでなく、BGMまで超がつく程のハイクオリティなゲームだったのです。
(そしてその後ステージ追加のたびに、BGMのカッコよさに打ちのめされる未来が待っています)
■ペンで軌跡を描く
「ペンで描いた線の通りに攻撃が発生する」
ただそれだけで楽しい!楽しい!楽しい!!
しかも楽しいだけでなく奥深い!
そして何より嬉しく、感心したのは操作が超シンプルな事。
しかもシンプル操作だからといって、ゲーム性が犠牲になっていたりしない。
覚えやすい操作と、ゲームの駆け引きが見事に両立された素晴らしいインターフェイス。
たったこれだけでこんなにも面白いゲームができるのかと驚いた。
今は冷静に文章を書いているが、当時は夢中になって線を引いていたと思う。
こんなにも素晴らしいゲームを作ってくれた開発スタッフの皆様、本当にありがとう。
私は今までも、これからも変わらず、楽しく線を引き続けます。