まえがきとして
勝手にSSシリーズとして、まさに好き勝手に書いたものです。読みづらいし面白くもないかもしれませんが、お付き合い頂けると幸いです。(自分の読みたい物語自給自足してます(もし新兵ちゃんの物語を知ってたらコメントで教えてください))
以下物語
これは、クリスチャン・アナスンに託された錫の新兵の物語
アナスンに聞いた
アナスンと彼女の出会いの物語である。
「今日は僕と彼女との出会いの物語を語ろうか」
いつものように、錫の新兵と呼ばれた彼女と共に、物語から物語へと旅し冒険することで、その物語の出来事を経験し、彼女のココロを描くという『冒険譚(ロマンス)』
その準備を行なっていたところ、この工房の主人である、クリスチャン・アナスンに声を掛けられた。
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アナスンと彼女との出会いの物語の前に、私と彼女の出会いを記しておく。
私は、かの四創聖の一人であるマメール・ロアの元で、神筆使いに至るために日々修行を行う筆使いの一人であった。
そこでの私は、マメール様の師事に従い自身の得意な、物語に登場する人物の内面、感情や心を描く修行を行なっていた。
そんな日々を送る中ある日、マメール様に創聖に匹敵する人物を紹介したいと声を掛けられた。
その人物こそ、クリスチャン・アナスンであり、錫の新兵を託してきたその人である。
アナスンは何でも受け入れる無垢な存在である彼女のココロを『冒険譚(ロマンス)』で満たし、彼女をキャストとして成長させ、来たるべき闇の軍勢との戦力となるようにと…
貴方と彼女の『冒険譚(ロマンス)』を綴るようにとアナスンの工房を訪れたその日に言われた…
最初にその話を聞いた時、私は断ろうと思った。
私は修行中の身であり、まだココロを描くことは出来ないと固辞するつもりだった。
だが
「マメールに相談したら君が適任だと紹介されたのさ」
と言われてしまっては、承諾せざるを得ない。
ここでさらに固辞してしまったら、マメール様の顔に泥を塗ってしまうことになるからである。
そんな自分の力不足を感じながら大役を担うことになった。
こうして、私は彼女と出会った。
彼女は強い…
こと戦闘能力にかけては、新たに綴る必要がないほどに…
その強さは、数多ある物語の英雄の如く…
しかし、アナスンが言っていたようにココロは無く、ただただ目の前の"敵"を、まるでホコリや汚れを払うかの如く淡々と作業のように"処理"をする。
その姿は、英雄より殺戮者と言われた方が納得してしまう有り様であった…
こんな彼女のココロを、自分が紡いで行けるのか不安に思う心境を他所に、彼女は今日も"作業"を行う。
ここまでが、私と彼女の出会いと現在(今)までの記録である。
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「彼女とアナスンさんの出会いですか?」
と私が聞き返す。
「さて何処から話そうか」
そうアナスンが話だす。
「彼女とは"とある物語"で出会ったのさ」
出会った?
てっきり出会いと言っても頭の中で出会い、それをこの世界に創生したと思っていた。
その思った疑問をそのままアナスンにぶつける。
「彼女はアナスンさんが創り出したのではないのですか?」
アナスンが何でもない事のように答える。
「いいや違うよ、僕は傷ついた彼女を修復しただけさ」
私は気になり、連続で質問を投げかける。
「彼女にはここ(アナスンの工房)より以前の記憶が有りませんよ?」
「ここより以前の彼女が存在するなら、その時の記憶もあるのではないですか?」
彼女はココロと同じく記憶もないことになる。
アナスンは答える。
「どうも彼女との出会いの直前に彼女のココロも記憶も、何もかも失ったみたいだね」
少し物騒な物言いに私は身構える
「何もかも…ですか?」
少し脅かすようにアナスンが答える。
「そう、何もかもさ」
「アレは酷かった、何せ彼女の物語そのものが闇に飲み込まれて消滅寸前になっていたんだからね」
アナスンの語りに嘘は感じられない。
ならこれは真実なんだろうが、私はすぐには信じる事が出来なかった。
物語には必ず執筆者(マスター)が居る。
マスターが存在する限り、物語は一部が失われても、書き加えられる事で修復される。
そのため、闇の軍勢は物語を取り込み自身の糧にしようとしても、物語のキャストがそれを払い退ける事で一部しか取り込む事が出来ないのである。
よって、その物語の主人公たるキャストはマスターが居る限りにおいては不滅の存在となる。
つまり、アナスンが言う消滅寸前になるという事は、マスターが何らかの要因により居なくなくなってしまった物語でしか起こり得ないのである。
しかし、マスターが不在となった物語はライブラリーに持ち込まれ、創聖及びその弟子、司書によって管理されているので、滅多に起こるものではない。
だが、彼女の物語でそれが起こったと言う。
「話を続けていいかい?」
私が驚愕のあまり呆然としたところ、アナスンが話を再開させてくれと声を掛ける。
「まぁ、すぐには信じられないだろうからね…だけど、このくらいでショックを受けてしまうようでは、この先の話を聞いたら君は卒倒してしまうかもね」
などと、少し失礼なことを言いながらアナスンは続ける。
「彼女の物語のマスターはおそらく闇の軍勢にやられたんだと思う…」
思う?
マスターがやられてしまったのを確認するには、その瞬間を見なくても他に方法があるのではないか?
「なぜ曖昧な言い方をするのかって顔をしてるね、それはね、僕が彼女に出会った時に彼女が抱えていたからさ、おそらくマスターであったであろうモノをね」
マスターであったモノ⁉︎
だから遺体を抱えていたならハッキリ分かるだ…
「気づいたようだね、そう、原型を留めていなかった。焦げた肉の塊と表現してもいいかな?」
……
「そして彼女も酷い状態だった、マスターであったモノを抱えながら、物語を取り込み強力なヴィランとなった闇の軍勢と一人で闘っていたのだからね」
………
「僕が彼女の元に到着して、闇の軍勢を退ける頃には、彼女は片足を失い、マスターを失った喪失感からかはわからないが、うすら笑みを浮かべながら消滅を待つ状態だった」
…………
「マスターは助ける事が出来なかったが、そこで彼女を見捨ててしまったら、ヴィランの糧となってしまうだろうし、彼女を見捨てる事は、僕自身が僕を許せなくなってしまうので、僕の芸術家(アーティスト)の力を使って、彼女の消滅を阻止したんだ」
……………
「あれ程の物を創造したのは久しぶりだったんだけど、なんとか上手く行ったよ、彼女の傷を癒し、失った片足も新しく創って馴染ませた。」
………………
「でも、失われたココロを修復する事は出来なかった…」
アナスンの芸術家(アーティスト)の力は存在の創生であり、無から存在を創り出せるほどに強力なものである。強力であるが故その反面、存在の内面を描くことが難しいのである。
芸術家の作る作品を見て貰えれば良くわかるだろう
彼らが作る作品を見た者の内側に、何らかの心や感情を生み出させることは出来ても、作品そのものに心や感情があるわけではない。
よって、アナスンが得意とするのはキャストの器の創生であり、その内面は空虚なモノになってしまうのである。
「…こんな話をして何がしたいんだって顔をしているね、君には申し訳ないけれど君には知っておいて欲しかったんだ、彼女が覚えていない彼女の事を…」
少しズルいと思ってしまった…
そんな事を言われてしまったら、彼女の事を救いたいし、何が何でもココロを取り戻して欲しいと思ってしまうじゃないか…
そして疑問も解けてしまった
驚異的な戦闘能力を持ちながら、その内側は空虚で何もない、アンバランスな彼女という存在の理由を…
あとがき的な何か
疲れたので、続きはやる気と時間があれば後日書きます。
あるかわからない次回予告は、錫の新兵の彼女と私が出会うまでのアナスンと彼女の物語を書きたいです。(需要は無くても勝手にやります。)
ご存知の物語と違う?
でも、これも数多ある物語の一つ