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我が家のハロウィン(ミクサちゃん目線)

by
S*momo
S*momo
※家族構成:私・ミクサちゃん・ドロシィちゃん・マグス

暑いような寒いような、そんな毎日が続いている。
朝と夜は長袖、でも昼間は半袖。そんな日常もあるんだなと、わたしは少し嬉しく思っていた。
「おはようさん!みくっち!!今朝も寒くてたまらんなー」
リビングに向かうと、しぃちゃんとマグス君が朝食をとっていた。
「おはようございます、マグス君、しぃちゃん」
わたしはリビングを見渡す。
窓から差し込む日差しは暖かくて、まるでますたのようだった。
部屋の飾りつけも終わって、今日はハロウィン本番。わたしは生まれて初めてのハロウィンをすごく楽しみにしていた。
…でも、ますたがいない
「マスターなら朝から町長さんの家に行っているよ。すぐに帰ってくると言っていたからそのうち戻ってくるさ」
さあ、君も朝食をどうぞ、とマグス君はイスを後ろに下げてくれた。…ちょっと、いいね。
わたしがテーブルの上のパンに手を伸ばそうとすると玄関のドアが開く。
「マグスー!仕事!!二人の保護者は任せた。私は…寝る!」
「ま、ますた。ごはんが食べれないよ…」
玄関も開けっ放しで、ますたは私に抱き着いてくる。ちょっと、いいけど…苦しい。
「あーみくっちずるい!ウチもマスターとあつぅい抱擁をしたいんやで!!!こう…ぎゅーっとな!!」
しぃちゃんは自分を抱きしめて、口をタコのように尖らせる。それを見て、マグス君とますたは笑っていた。
ますたは私から離れると、しぃちゃんの頭をポンポンする。
「はいはい、今日は沢山楽しませてあげるからね。」
「で?ボクが子守りっていうのはどういうことだい?」
マグス君が面倒そうにますたに聞く。…子守り?
「そ・れ・は・ね…」
ますたはマグス君の耳元で何かを囁いていた。二人で笑い合うと、マグス君は頷く。
なんだか胸の奥がぎゅっとした。ちょっとだけ羨ましい。
「じゃ、私は寝るから!マグスはよろしくね」
ますたはそう言って部屋に行ってしまった。…少し寂しい。
「なぁなぁ」
しぃちゃんがマグス君の方に身を乗り出す。
「前から気になってたんやけど、マグスとマスターってどういう経緯でペアになったん?みくっちがここに来るまで結構長かったんやろ?」
わたしもちょっと気になる。
「それは秘密さ。そんなことより、今日はハロウィンだから町内を巡り歩くよ。さあ、朝食をとったらさっそくアレを着るんだ」
「あれ?」
私は首を横に傾けた。

「で、なんやこれ?」
わたしとしぃちゃんは言われた通りの衣装に着替えた。
「ん?まだ分からないのかい?かぼちゃの魔女だよ」
帽子にはお花ではなくかぼちゃが付いていて、はむすたーみたいな子にもちいさなかぼちゃの帽子が被せてあった。
体は黒がメインの魔女さんみたいなお洋服。
わたしもそれは一緒だった。
「そうやない!!なんでウチが魔女にならなあかんのやあああああ!」
しぃちゃんは頭を抱える。わたしは、とっても似合ってると思うんだけどなぁ。
「わたしと一緒じゃ…いや…かな?」
「ち、ちがうでみくっち。ウチはな、適材適所言うてるんや。みくっちの魔女っ子はめっちゃかわええし、何なら永久保存版として剥製にでもしてやりたいんやけどな?」
「はくせい…?」
「ともかく!何でウチが魔女なんやああああああ!」
しぃちゃんが騒いでいると、奥に行ったはずのますたが戻ってきた。
目をこすりながら、ますたは親指をグッと立てる。
「…マスターあああああああ!!後生やから!後生やからぁああああ!」
ますたは何も言わずにしぃちゃんの頭をポンポンと叩くと、奥に戻っていった。
「マスターああああああああ!」
しぃちゃんの悲痛な叫びが、隣町まで響き渡った。

「トリック・オア・トリートやで!お菓子くれへんとタレつけて食うたるでえ!」
「トリック・オア・トリートだよ。お菓子をくれなきゃ、燃やすよ」
お家の人が玄関を開けると、私達はできるだけ可愛くそう言った。なんだか苦笑いする人もいるけど、みんなお菓子をくれた。ちょっと、いいね。
「はあ…どうしてこんな物騒な台詞になってしまったんだ…」
マグス君は少し遠くから頭を抱えて見ていた。子守りとはこういう事だったみたい。
ハロウィンというのは、こうやって町中を練り歩くお祭りなんだってあの後マグス君から聞いた。
わたしも最初はちょっと恥ずかしかったけれど、今はちょっと楽しい。
こうやってみんなで暖かくなれるお祭りはすごく、いいね。
いつもご挨拶する町の人たちもすごく優しくて、「■■によろしく」ってますたの名前を口にしていた。

お家に帰ると、わたしとしぃちゃんはすごくびっくりした。
「ハッピーハロウィン!!」
玄関を開けると、クラッカーの音と同時にますたが叫ぶ。しぃちゃんはオドオドしていた。
「な、なんやこれ…えぇ!どうなってるんや!?」
テーブルにはご馳走が並んでいて、私とますたでつくった飾りつけも更に豪華になっていた。
「こ、これ…全部ますたがやったの!?」
「みんなのために頑張ってみました!私の手料理なんて珍しいんだから、心して食べてよね!」
そういえばいつもご飯はマグス君が作っていた気がする。
でも、見ただけならすごく美味しそうなご飯なんだけどなぁ。
「マスターは料理もそこそこできるから安心するといいよ。ま、ボク程じゃあないんだけどね」
「自分で言うんかい!」
マグス君が誇らしげに言う。
わたしはお料理をつまみ食いする。
「んー!!ますた、これすごく美味しいよ!いいね!」
「ほんとに!?ミクサちゃんにそう言ってもらえるだけで、私は昇天できるよ…」
「しょうてん?」
「あ!みくっちずるい!ウチも食べる!!」

こうしてわたしたちのハロウィンは楽しく過ごしたのでした。
すごく、いいね。
 
更新日時:2018/10/28 23:00
(作成日時:2018/10/28 23:00)
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