6280

4人のシンデレラについて【原典のお話】

by
童話アシェ
童話アシェ
何やらキャンペーンをやっているのでせっかくだし駆け込みで記事を書いてみる。今回はwlwに存在する4人のシンデレラについて。
シンデレラは大昔の古今東西から存在する童話であり、ご存知サンドリヨン、アシェンプテルがそうだ。またドラマCDや小説、名前をググって知った者も多いだろうが、チェネレントラ、ロードピスもシンデレラの一人である。今回はこの4人のシンデレラを簡単に解説したい


サンドリヨン
・カボチャの馬車に、12時の魔法、誰もが真っ先にイメージするであろう世界で一番有名なシンデレラ。実は原典だと舞踏会には2日出席していたり
・作者はフランスのシャルル・ペロー。王宮の女性の教育係だった彼は自分の童話一つ一つに教訓を添えている。一見の価値あり。
・原典は沢山の絵本になっているが大抵は編集の入った意訳。是非ともちゃんと訳された原典を読んでほしい。西村書店「ペロー昔話・寓話集」(2008)なんかオススメ。



アシェンプテル
・サンドリヨンと内容は概ね同じ…と見せかけて結構違うシンデレラ。舞踏会の出席日、助けてくれる人、靴、何もかも違う。読み比べてみるのをオススメしたい。
・作者はドイツのグリム兄弟。我らがヴィルヘルムである。尚、この兄弟はグリム童話を生涯で7回書き直してるのだが、このアシェンプテルは最初に書かれた初版と最後に書かれた第7版では内容が全然違う。読み比べてみるのをオススメ(ry
・wlwではサンドリヨンが鳩と描かれることが多いが、原典的にはアシェンの方が関わりが大きい。彼女を助けてくれる頼もしい相棒。
・原典は初版なら白水社の「初版グリム童話集―ベスト・セレクション」(1998)、第7版はちくま文庫の「完訳グリム童話集<2>」(2006)に収録されている。



チェネレントラ
・継母をSATHUGAIした経緯を持つシンデレラ。某泉の番組で知った人も多いのでは?実はサンドリヨンよりも60年ほど先に書かれた。
・作者はイタリアのジャンバティスタ・バジーレ。なんと軍人。彼の童話は少々エログロが多め(現代と比較してだが)
・本名は「ゼゾッラ」。
・原典なのだが日本では手に入りにくい。一番手に入りやすいのが大修館書店の「ペンタメローネ」(1995)だがそれでも少々お値段が張る。大きな図書館なら置いてあるかも。



ロードピス
・生まれはギリシャ。育ちはエジプト。奴隷として売られるも最後にはお妃様になった紀元前から存在するシンデレラ………
・………と言いたいのだが、彼女は舞踏会に行ってない。魔法のドレスも無い。というか愛玩奴隷なので別に不幸でもない。「苦難を乗り越え、幸せを掴んだシンデレラ」かと言われるとちょっと違う。
・「靴を切っ掛けに女性を探し出す物語」ではあるのだが、それ以外の共通点が無いので、「シンデレラ」というよりは「よく似てる類話」といった方が正しい。それでも彼女の靴が何百年も経った後にシンデレラのモデルになった可能性は有り得る。
・原典はストラボンの地理書。ぶっちゃけ日本語訳されてるのかも怪しい。読むのは実質不可能と思われる。自分は新潮選著「世界のシンデレラ物語」(1979)を参考にさせてもらった。




かいつまんだ説明だが、こんな感じか。この手の話は人を選ぶ。興味ないという方も大勢いるだろう。それはそれで勿論構わない。だがもし僅かにでも興味が湧いたのなら、たまには本を手に取ってみるのもどうだろう?
更新日時:2018/06/30 23:59
(作成日時:2018/06/30 23:59)
カテゴリ
雑談
コメント( 0 )
コメントするにはログインが必要です
シェア