戦場は頓着。私のサポーターも健在で、あっちのアタッカーも健在だ。
とはいえ、彼ら2人は兵士列を挟んだ向かい側。レーンの中腹横合いの森で満身創痍の私はちらりと視線を向けた。
同じく満身創痍のピーター・ザ・キッド。向こうのサポーターである少年が引くか残るか兵士を見ながらおろおろうろうろ。
私だって森に入ってかくれんぼでもすればこの傷をこっそり癒す事は出来るけれど、逃げ足のはやいあの悪童のこと。
"こらしめる"チャンスがあるならそれは惜しい。
森に入る振りをして、急に振り返ってびっくり箱を振りかぶる。
「びっくりさせちゃ、え──?」
ちゃんとピーターを見て振りかぶった筈なのに、目の前の視界からピーターが消える。
巨大なびっくり箱は何かに当たることなくバウンドして消えていき、そして眼前が緑でいっぱいになった。
強烈に巻き上がる風と他人の柔らかな暖かい温もり。重たさに引き摺られてめいっぱい尻もちを付く。
「ははっ、びっくりしたかい?──ってありゃ」
瀕死のアリスにはちょっと刺激が強すぎたよ。
いたずらに抱き着いたピーターの腕の中で、リトル・アリスはすっかり目を回していた。
* * *
良い仔はびっくりをエアウォークで避けてそのまま突っ込んでキルを取ろうなどと考えてはいけません。