──これは解釈の話なので、貴方が想像する"彼女達"と違いがあるかもしれない。
けれど、それだって『彼女達』だと思うから。それは間違いではなく、貴方の『彼女達』なのだ。
「わたしがアリス。ちいさなちいさなリトル・アリス」
「私がアリス。どこにでもいるシャドウ・アリス」
でも、手を合わせてくるくる回って踊ったら――
どっちがアリスで、どっちがアリス?
他の人には、わからないかも!
『不思議の国のアリス』の物語。
「良く似ている」と言われるアリス達と、「似ても似つかない」というロビン達の話。
シャドウ・アリスに誘われて、リトル・アリスが"ないしょのおはなし"のその中身を試す物語。
『不思議の国のアリス』の物語、と題されるからにこれはアリス達の物語だ。
アリス達のどちらとも分からぬ視点で描かれ、ロビンとマリアンの反応を伺うと言った内容。
1枚目のテキストの内容を踏まえると、アリス達はもしかしてお互いに化けたのではないだろうか。
・・・・・・・・・・・・・ ふふ、マリアンも気付かなかったみたい!
鏡合わせのふたりのアリス。もし本当に気付かなかったのならふたりが他のひとには何方か分からないくらい「良く似ている」ことが証明される物語。
でも少し、視点を変えさせてほしい。
「アリスさんですか? んー……ほら、そこに」
本当にロビン・シャーウッドは。
「……それだけかい?」
メイド・マリアンは。
「そんなんじゃないさ。ま、多少察しが悪いのは気に障るがね」
・・・ 「ふふふ、申し訳ありません。冗談ですよ」
本当に、気付かなかったのだろうか。
気付いていながら、気付いたと言わない。
自分の主張を無理に通さない。それは"おとな"の処世術だろう。
おとなの人って、なんだかむずかしいんだね。
ふたりが本当にそうなのかは分からない。本当に騙されたのかもしれない。気付かなかったのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
けれど、ふたりがもし本当にふたり揃って気付かない振りを選んだのだとしたら。
ロビンとマリアンが同じ選択を選ぶという、「似ても似つかない」ことへの反証ともなる物語でもある。
「あー、アイツも眼が曇ったかねぇ」
因みにこの仮説前提だと、この発言はロビンなら見抜ける筈だという信頼から発生する呆れの一言になる。
メイド・マリアンからロビン・シャーウッドへの能力的信頼が窺い知れる貴重な一言になる。
いいんじゃねえか。
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