1832

第2の幕 『相違』

by
おぱんにゃにゃ
おぱんにゃにゃ
これまでの、オレっちヒストリー!

怪童丸となったオレっちは
それはそれ、これはこれの精神で
ゲーセンへ向かう!
なんやかんや、遂にたどり着いた
ワンダーの筐体の前で
オレっちより先にワンダーに
入国した男…
それは紛れもなく、ゲーム内で
オレっちの脳天に幾度も風穴を空けた
森(フォレスト)守護者(ガーディアン)


ロビン・シャーウッド
その人であった。
………
……

 
オレっちはAimeの捜索を諦め、
入国早々、優雅にカスタマイズを始める
その男、ロビンの矢を引くごときペン先を
横で木偶の坊のように呆けた顔で
見つめていた。
先程の、この男が発した言葉が、
矢のように頭に突き刺さったまま
離れないでいた……

………
……


金『同じ…オ、オレっちと?』

ロビン『同じ、です』ニコッ♪

【同じ】という、同じ言葉を再び
オレっちに投げ掛けるロビン。
2回言われると、混乱も2倍。さながら

言葉のダブルショット。
効果は絶大であった。

ロビン『悲鳴やパトカーのサイレンを
聞きつけ、何事かと思えば…
雲をも衝かんとする、大きな熊のような
男が、大破したパトカーから出る
煙の中で仁王立ち…ピンと来ましたよ。
貴方もある日、【なった】のでしょう?』

突きつけたままだったペン・デバイスを
クルクルと弧を描きながら
背に負った矢筒に仕舞い、


ロビン『あ、こっちじゃなかった…』

と、小声で呟いたあと、またクルクル
させながら画面に構え直した。

金『なったってぇのは…アンタも
元は、普通の人間だったてぇ事か?
いや、そもそもアンタ、いつから
見てたんだっ!?ずっと
つけてたって事かよッ!』

ロビン『森の守護者を甘く見ないで下さい
私が本気を出せば、森の中からアリスや
ミクサを試合終了時刻までつけ続ける
事も可能なのですよ?』

キモい。

金『むぅ、一声かけてくれりゃ
良いものを…お?アンタよう、オレっちを
目立つと言ったが、アンタだってその
ナリだ、道中、大変だっただろう』

ロビン『ええ、視線を向けられ視線を
返せば、恥らんだ女性から挨拶を受け、
声をかけられ振り向けば、お茶の誘いを
受ける…全く、困ったものです』

こうも違うのか。
オレっちは瞬間、深い絶望へと落ちたが
全身の細胞が沸騰するような感覚に陥り、

瞬時に笑顔を捻り出した。
雷神の怒りを買うところであった。
あぶねえ、あぶねえ。


……
………


         『必ず仕留めるッ!』

ハッ、とオレっちは回想の渦から
引き戻された。
画面の中では、ロビンの操作するロビンが
ピーターを射止めていた。

『蝿が…ちょこまかと鬱陶しいんですよ』

端正な唇から冷徹な言葉を吐き捨てる。
この男のプレイスキルは、オレっちの
目線から見ても、
とても巧いものであった。

狩人、そのものなのだ。

常にジャストを構え、全体を見渡し、
森の中を先回り、罠を仕掛ける……

ただ、優雅さは欠けていた。

ロビン『帰ってんじゃねーよ…!』

画面の中では、相方のエピーヌが敵の
リンク攻撃を受け、
『ごめんなさい』の一声と共に、
帰城を開始していた。

金『でもよぅ、この姉ちゃん、アンタが
中央空けてる中、一人で頑張ってたん
だぜ?死んだら100年の眠りも覚めちまうし、そうしたらアンタも…』


         ドンッッ

オレっちの言葉は、台を叩く音に
かき消された。


ロビン『煩いですよ…』

      ドンッ   ドドンッ


音に連鎖するかのように、見方が
撃破されていく。
中央が抜かれた為に、端への追撃を
許したのだ。そんな中、この男は…


なんでっ!? ぽん☆
なんでっ!? ぽん☆


鬼気迫る、その顔で、
アリスのスタンプを連打していた。

金『お、おいアンタよう…ッ!』

ロビン『それ見たことか!こいつらの
せいで負けてしまった!みんな私より
ランクが高いのに、むざむざキルを
とられるからだッ!』

周りを省みず罵声を被せるロビン。
先ほどまで後ろにいた、頭文字がDな
走り屋たちもすっかり逃げてしまった。

ロビンの憤りは収まらず、その怒りは
場外線となって見方に降り注ぐ……

ことは、なかった。


       ボキィッ!!

そのペン先を、

轟ッ!

オレっちの手のひらが、

轟轟ッ!

真っ二つに、

轟ォヲヲヲヲンッ!!


真っ二つにへし折っていた。


唖然、の【あ】の形に口を開けたまま、
ロビン…いや、ロビンと呼ぶのも
おこがましい。

金『アンタぁ…自分とオレっちが、
同じとか言ってたなぁ』

金『アンタのこと、出会ったばっかだから知らねえけど、違うところ一つだけ
見つけたぜぃ……』

金『母ちゃんが言ってたんだがよ。
心までブサイクになんな、ってな』

金『オレっちは怪童丸になった時…
戸惑ったが、今では嬉しい。なぜなら
竹を割ったような性格に…オレっちは
憧れていた。それに近づけたような
気がして…嬉しかったんだ』

金『それが、どうだぁ、アンタ?
一緒に戦った味方を煽るわ、スタンプ
連打するわ、場外線ひくわ……』

金『アンタなんか、

ロビンじゃねえッ!
文字通り面の皮被っただけの偽物でぇえいッッ!!


オレっちはまだ形の残っていたペンを

完全に粉砕すると、
固まったままのロビンに指示を向ける…


金『表へ出ようぜ…
キレちまったよ……』


             
to,be,continued,,,
作成日時:2020/12/16 03:12
コメント( 12 )
12件のコメントを全て表示する
おぱんにゃにゃ
おぱんにゃにゃ
2020年12月17日 1時46分

ここだけの話、結構ツラ…ッいやいやっ!
た、楽しいもんでぃッ、へへへッ……!

文筆ランカー(らしい)
文筆ランカー(らしい)
2020年12月17日 1時49分

ではせっかくなので、自作アイコンの玉藻で…

わっちもやるー!やりたいのじゃー!!!

おぱんにゃにゃ
おぱんにゃにゃ
おぱんにゃにゃ
2020年12月17日 1時53分

おおっ、やるなぁ♪いいじゃねぇか、やっちまえッ!!
ただ、全員がこのスタイルで投稿したら
ワンダー部、確実にカオスになるなッッ!!
ちと怖い。

ベオウルフ
コメントするにはログインが必要です
シェア